総務部門の業務が依然として手作業中心であったり、属人化していたりする場合、業務の効率が低下し、柔軟な働き方に対応できなくなります。このような状況は、企業全体の競争力にも影響を与えかねません。そこで注目されているのが「総務DX(デジタルトランスフォーメーション)」です。
本記事では、総務DXの概要やその必要性、導入による具体的なメリットを詳しく解説します。また、総務DXを成功させるためのポイントやおすすめのツール・システムについても紹介していますので、総務のDX化を検討している担当者の方はぜひ参考にしてください。
総務DXとは
総務DX(デジタルトランスフォーメーション)は、企業の総務部門が業務をデジタル化・自動化して業務改善を行う取り組みのことです。具体的には、ペーパーレス化やデータ管理の電子化を進めて従業員が必要な情報を迅速に取得できる環境を整えたり、承認プロセスにシステムを活用して効率化したりします。DX化は単なるデジタル化とは異なり、デジタル技術を活用して業務フロー全体を変革させるのが目的です。
総務DXが必要とされている理由
総務DXが求められる背景には、企業環境の急速な変化が挙げられます。近年は働き方改革の促進や新型コロナウイルスの影響で、柔軟な労働環境が求められるようになりました。今後も労働環境の変化が絶えず続くと考えられており、総務部門も迅速に対応する必要があります。
総務DXで得られるメリット
総務DXで得られるおもなメリットには、次の4つが挙げられます。
- 業務効率を向上できる
- コストを削減できる
- さまざまな働き方に対応できる
- 属人化するリスクを低減できる
業務効率を向上できる
総務DXにより業務の効率化が進み、作業時間が短縮されます。デジタルツールを利用することで、手作業での業務が自動化され、承認プロセスやデータ入力を迅速に行うことが可能です。たとえば、ワークフローシステムを導入すると、申請や承認の進捗状況をリアルタイムで把握でき、ボトルネックを早期に解消できます。
コストを削減できる
総務DXはコスト削減にもつながります。ペーパーレス化を進めることで、印刷や郵送の費用を削減可能です。書類をデータ保管できるようになれば、物理的な保管スペースも節約できます。
また、業務プロセスの自動化によって、人件費を含む運営コストを抑えられるのもメリットです。定型業務の人手を減らして業務を効率化すると、同じリソースでより多くの業務を処理できるため、コストパフォーマンスの向上が期待できます。
さまざまな働き方に対応できる
総務DXは、多様な働き方への対応にもつながります。クラウドベースのツールを使うと、従業員はどこからでも業務を遂行できるため、育児や介護などでリモートワークが必要な場合にも対応可能です。柔軟な働き方ができるようになることで、従業員のモチベーション向上にもつながるでしょう。
また、デジタル化された社内システムは迅速な情報共有を可能にするため、リモートワークを行う従業員でも業務の一貫性が保たれます。結果として、企業全体の生産性向上に期待できます。
属人化するリスクを低減できる
属人化とは、特定の従業員に業務が依存する状態です。総務DXを進めることで、業務の標準化が進み、特定の個人に依存しない体制が構築できます。
また、ツールやシステムの導入により業務フローやマニュアルが一元化されるため、新入社員に対してもスムーズな業務の引き継ぎが可能です。さらに、情報がシステムに蓄積されることで過去のデータを基にした意思決定が可能となり、業務の質向上にもつながります。
総務DXにおすすめのツール・システム
総務DXにおすすめのツール・システムを5つご紹介します。
- ワークフローシステム
- RPA
- 物品管理システム
- 社内コミュニケーションシステム
- チャットボット・FAQシステム
ワークフローシステム
ワークフローシステムは、申請や承認のプロセスをデジタル化し、業務効率を向上させるツールです。
従来の紙ベースのプロセスでは、承認者が出張に行っていると出社するまで申請が滞ってしまうなど、承認されるまでに時間がかかる場合がありました。デジタル化すると、場所を問わず承認作業ができるため、遅延解消につながります。仮になかなか承認が下りない場合でも、申請書類の進捗状況をリアルタイムで把握できるため、どこで滞っているのかもすぐに確認できます。
また、データが蓄積されることで、後の分析や改善に役立つ情報が得られ、業務フローの最適化につながるのもポイントです。
RPA
RPA(ロボティック・プロセス・オートメーション)は、定型業務を自動化するツールです。経費精算や請求書処理、データ入力などの定型業務が多い総務業務では、特に効果を発揮します。
自動化することで時間と労力を大幅にカットできるうえ、人為的なミスの削減にもつながります。
物品管理システム
物品管理システムは、企業の資産や物品の発注・在庫管理を効率化するためのツールです。備品にバーコードやICタグを付けて管理することで、在庫状況をリアルタイムで把握でき、過剰在庫や在庫切れを防ぐことが可能です。
また、物品の使用状況を分析することで、効率的な発注が可能になり、経費削減にもつながります。
社内コミュニケーションツール
社内コミュニケーションツールは、チームや部門間の情報共有を円滑にするためのツールです。チャットツールやビデオ会議システムの導入により、リモートワークを行う従業員同士がリアルタイムでコミュニケーションを取れるようになります。
社内コミュニケーションの質は生産性や社員の満足度に直接影響するため、リモートワークを導入している企業では欠かせないツールと言えるでしょう。
チャットボット・FAQシステム
チャットボットやFAQシステムは、よくある質問や日常的な問い合わせに自動で対応するツールです。定型的な問い合わせの自動化によって従業員は他の業務に集中できるため、総務部門の負担軽減や業務効率の向上が期待できます。
また、チャットボットは24時間対応が可能です。従業員が必要な情報をいつでも得られる環境を提供できるため、従業員の満足度向上にもつながります。
総務DXを成功させるためのポイント
総務DXを成功させるために、次の3点を押さえましょう。
- DX化の目的を明確にする
- 段階的に導入する
- 従業員への理解促進と教育を行う
DX化の目的を明確にする
総務DXを進める際には、目的を明確にすることが重要です。業務の効率化、コスト削減、リモートワークへの対応など、課題に対しての目標設定を行いましょう。目的が明確であれば、導入するツールやシステムの選定が容易になり、プロジェクトの方向性が定まります。
また、DX化の目的を全社員に共有することで、各自がどのように貢献できるかを理解しやすくなり、組織全体の一体感にもつながります。
段階的に導入する
全社的なDXは大規模なプロジェクトとなるため、段階的に導入することが成功の鍵です。一度にすべてのプロセスを変えるのではなく、優先度の高い業務から順にデジタル化を進めましょう。
まずはデジタル化しやすい一部の業務から始めて成功事例を作ることで、他部門への導入をスムーズに進められます。段階的なアプローチは変革に対する抵抗を減らし、組織全体の受け入れやすさを高める効果も期待できます。
従業員への理解促進と教育を行う
総務DXの成功には、従業員の理解と協力が不可欠です。新しいシステムやツールを導入する際には、目的やメリットを明確に伝えましょう。
また、導入前の研修も欠かせません。システムやツールの使い方をあらかじめ習得しておくことで、導入後の業務もスムーズに進められます。定期的に研修を行う、マニュアルを用意するなど、サポート体制を整えましょう。
まとめ
総務DXは、企業の競争力を高めるために欠かせない取り組みです。デジタル化により業務の効率化やコスト削減を実現し、柔軟な働き方をサポートすることで、企業の生産性向上につながります。自社の課題に合ったツール・システムを選定し、段階的に導入を進めていきましょう。
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