法務は、契約書の作成や法的リスクの確認といった高度な業務が手作業で行われることが多い部門です。それゆえの非効率さや人為的ミスが発生しやすい環境を課題に感じている方は多いのではないでしょうか。このような課題を解決するために、今注目されているのが「法務DX」です。
本記事では、法務DXの概要やメリット、進め方をわかりやすく解説します。法務業務に課題を感じている担当者の方は、ぜひ参考にしてください。
法務DXとは?
法務DXとは、従来の紙ベースの法務業務をデジタル技術を駆使して効率化し、業務プロセス全体を革新する取り組みを指します。単なる「デジタル化」とは異なり、AIや自動化ツールを活用して契約書の管理や法的リスクのチェックといった複雑な作業も簡略化するなど、ミスを減らしながら業務のスピードと精度の向上を目指しています。
法務DXを進めることで、法務部門はより戦略的な業務に時間を割けるようになり、企業全体の効率化にもつながるのが大きな特徴です。
法務業務が抱えている課題
法務部門は、その専門的な性質ゆえにいくつかの課題に直面しています。まず挙げられるのは、人材不足です。法務業務は高度な専門知識を必要とするため、十分な知識を持った人材が不足しやすい現状があります。さらに、法務担当者それぞれが独自の判断で業務を遂行することが多いため、ノウハウの共有が難しく、属人化が進みやすいのも課題です。
加えて、煩雑な業務フローがある中で手作業での処理が多く、業務効率が低いことやミスのリスクが高まるといった課題も抱えています。
法務DXがもたらす3つのメリット
法務DXの推進には、次のようなメリットがあります。
- 業務を効率化できる
- 人為的なミスを削減できる
- コストを削減できる
1:業務を効率化できる
法務DXを推進することで、従来の紙ベースや手動で行っていた作業を自動化・効率化が可能です。たとえば、契約書のレビューや承認フローでデジタルツールを活用すると、他の重要な業務により多くの時間を割けるようになります。よって、業務全体のスピードが向上し、全社的に効率よく対応を進められます。
2:人為的なミスを削減できる
法務業務では、契約書の作成やレビュー時に誤字脱字や条文の見逃しといった人為的なミスが発生しやすい傾向にありますが、法務DXを導入するとこうしたミスを削減できます。たとえば、AIを活用した契約書レビューツールは、ヌケモレや誤りを自動で検出してくれるため、確認作業が迅速かつ正確になります。
3:コストを削減できる
法務DXの一環として契約書を電子化すると、印刷や郵送の必要がなくなるため、コストを大幅に削減できます。また、書類の保管スペースも不要になるため、保管コストも削減可能です。電子契約サービスの導入によって、企業はペーパーレス化を進め、業務全体のコストを改善できます。
法務DXの進め方を6ステップで解説
法務DXの進め方を6ステップで解説します。
- 現状分析して課題を明確にする
- 課題をもとに目標を設定する
- ツールを選定する
- 試験的に導入する
- 導入部署を広げて全社展開する
- PDCAサイクルを回す
STEP1:現状分析して課題を明確にする
まず、法務業務における現状の課題を洗い出すことが重要です。何がボトルネックになっているのか、どの業務が効率化できるのかを具体的に把握することで、適切な解決策を見出せます。現状を正確に把握することが、DX成功の第一歩です。
STEP2:課題をもとに目標を設定する
次に、洗い出した課題に基づいて、法務DXの目標を設定します。「契約書作成時間を50%短縮する」など目標が明確であればあるほど、導入後の成果を測定しやすくなります。
STEP3:ツールを選定する
目標を設定したら、課題に対応するためのツールを選定します。多機能なツールは魅力的に見えるかもしれませんが、必要以上の機能はコスト増につながる可能性があります。よって、解決したい課題に焦点を当てたツールを選ぶことが大切です。自社の規模やニーズに合ったツールを探しましょう。
STEP4:試験的に導入する
いきなり全社的に導入すると、混乱が生じる可能性があります。まずは、特定の部署や特定の業務フローにおいて試験的にツールを導入し、その効果を測定しましょう。この段階で得られるフィードバックが、全社導入時の改善材料になります。
STEP5:導入部署を広げて全社展開する
試験導入が成功したら、その成果を基に導入を他の部署や業務に広げていきます。全社的な法務DXを進める際には、各部署との連携が不可欠です。全体に展開する際も、現場の意見を聞きながら、徐々に範囲を広げていきましょう。
STEP6:PDCAサイクルを回す
法務DXの導入後も、PDCAサイクルを回しながら業務の改善を繰り返すことが重要です。導入時に設定した目標を基に効果を測定して、必要に応じてツールや業務フローの見直しを行い、継続的に業務改善をしていきましょう。
法務DX推進におすすめのツール
法務DXを推進するうえで、おすすめのツールを4つご紹介します。
- AI搭載の契約書レビューツール
- リーガルサーチツール
- 案件管理システム
- 電子署名・電子契約サービス
AI搭載の契約書レビューツール
契約書作成やレビュー作業は、人為的なミスが発生しやすいプロセスですが、AI搭載の契約書レビューツールを導入することで、ミスのリスクを軽減できます。AIが契約書を分析し、条文のヌケモレや誤りを自動的に指摘してくれるため、人的な見落としを大幅に減らすことが可能です。また、業務時間の短縮にもつながります。
リーガルサーチツール
リーガルサーチツールは、法律文献や判例を迅速に検索できるツールです。膨大な量の資料を手作業で調査するのは時間がかかります。そこでツールを活用すると、必要な情報を素早く正確に入手でき、業務効率の向上に期待できます。調査にかかる時間が大幅に短縮されるため、迅速な法的対応が可能です。
案件管理システム
法務部門には、メールや電話、チャットなどさまざまな形で案件や相談が寄せられますが、その管理が煩雑になりがちです。そこで案件管理システムを導入すると、すべての案件を一元管理し、進捗状況や対応履歴をチーム全体で共有できます。担当者間での情報共有がスムーズになる効果もあり、業務の属人化も防げます。
電子署名・電子契約サービス
契約書のやり取りをデジタル化する電子署名・電子契約サービスは、法務DXにおいて欠かせないツールです。契約プロセスがオンラインで完結するため、印刷や郵送が不要になり、業務を効率化できます。また、改ざん防止機能や本人性の担保ができるため、法的に有効な契約を迅速に締結することが可能です。
まとめ
法務DXは、単に法務業務をデジタル化するだけでなく、業務全体の効率化やミス削減、コスト削減といった多くのメリットをもたらします。法務DXを成功させるためには業務の課題を明確にし、適切なツールを選定・導入することが重要です。また、導入後もPDCAサイクルを回して業務改善を続けることで、より高い効果を得られます。
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