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業界別 2024年3月25日

経理業務はAIで必要なくなる?その真相とAIの活用事例を解説

経理AI

近年、性能の高いAIが多く開発されており、さまざまな業務がAIに奪われてしまうのではないかといわれています。そのようななかで、経理業務はAIで必要なくなるのか、気になる方も多いのではないでしょうか。

そこで本記事では、経理業務はAIに奪われるのか、また経理業務でAIがどのように活用できるのかについて解説します。経理業務を行っている方は、AI時代の働き方を知るためにもぜひ参考にしてください。

経理業務はAIに奪われる?

経理業務はAIに奪われてしまうのでしょうか。結論から言うと、奪われることはありません。

その理由としては、以下の3点が挙げられます。

  • 業務によっては複雑なものがある
  • 業務内容が多岐にわたる
  • 人間による確認や承認が必要なものが多い

AIはあくまでルーティンワークを始めとした決まった作業を行えるツールです。そのため、機械的な作業が難しいデータ分析や、経理の正誤判断などを任せるのは現状では難しいでしょう。経理には法的な知識も必要とされるため、AIだけで全て実施するのは困難です。

しかし、逆に言えば、人間の判断を必要としない決まった作業はAIが活用できるといえます。単純な記帳や計算はAIを使うことで効率化できるため、それしかできない人材は経理に必要なくなってしまうかもしれません。今後の経理には、AIを活用できるスキルや、単純作業にとどまらないデータ分析・経営判断の能力が求められていくでしょう。

このように、経理業務はAIに全て奪われることはないものの、AIをうまく利用したうえでAIにできない業務を中心に行っていく必要があります。

経理業務でAIを使うメリット 

経理AI_001

経理業務でAIを導入すると、さまざまなメリットを得られます。たとえば、大きく以下の2つが挙げられます。

  • 単純作業にかかる時間を削減できる
  • ヒューマンエラーを減らせる

ここでは、これら2つのメリットについて詳しく見ていきましょう。

単純作業にかかる時間を削減できる

1つ目のメリットは、仕訳入力や請求書処理などの単純作業にかかる時間を削減できることです。AIを活用すれば、紙の請求書や領収書をデジタルデータに変換し、自動で仕訳入力を行って業務効率を向上できます。

単純作業をAIに任せることには、人間にしかできない業務に時間をかけられる側面もあります。単純作業にかかる時間が減ることで、分析や戦略立案など、より高度な思考を要する業務に時間を割けるためです。

経理部門の役割は、単に数字を管理するだけでなく、その数字を基にした経営の意思決定をサポートすることにもあります。AIの導入により、経理部門のスタッフはそのような価値ある業務に集中できるようになるのです。

 

ヒューマンエラーを減らせる

2つ目のメリットは、ヒューマンエラーを減らせることです。

経理業務は、高い精度が求められるため、ヒューマンエラーの発生は大きな問題となります。とくに、複雑な会計処理や繁忙期においては、ミスが起こりやすい環境にあるのが実情でしょう。どんなに熟練した経理担当者でも、ミスを完全になくすことは不可能です。長時間の作業や繰り返し作業の中で、集中力が途切れることもあり、少なからずヒューマンエラーが発生します。

しかし、AIを導入することで、仕訳の自動入力や請求書のデータマッチングなどを行い、初歩的なミスを減らすことが可能です。AIによる初期チェックの後、最終確認を人間が行うことで、ダブルチェックの体制を整えられます。

このように、AIの活用はヒューマンエラーのリスクを最小限に抑え、単に作業の効率化だけではなく業務の質を向上させられます。

AIが得意なこと

AIにはできる業務・できない業務がありますが、どのようなことが得意なのでしょうか。ここでは、AIが得意なことを大きく以下の2点に分けて解説します。

  • パターン化された業務
  • たくさんのデータの処理

 

パターン化された業務

AIはパターン化された業務において大きな能力を発揮します。

たとえば、AIは定型的なタスクを人間よりも高い精度・速度で実行できます。仕訳入力やデータの整理など、決まったルールに従って行う作業をAIは効率よくこなすことが可能です。

また、AIは学習能力を有しているため、初めは対応が難しいと思われる複雑な業務でも、繰り返し学習すれば定型化できる業務であれば対応できるようになる場合もあります。

 

たくさんのデータの処理

AIは膨大な量のデータ処理にも長けています。

人間が何時間もかけて行うデータ処理作業を、AIはさまざまなアルゴリズムを用いて、わずかな時間で完了させることが可能です。たとえば、大量の情報の中から異常値を見つけ出したり、特定の基準に沿っていないデータを識別したりする作業などが挙げられます。

AIはこれらの処理を瞬時に行えるため、人間の手によるチェック作業に比べて格段に効率的です。

 

経理業務でAIが役立つ場面

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実際に、経理業務でAIが役立つのはどのような場面なのでしょうか。ここでは、代表的な以下のAI活用例を紹介します。

  • OCRを用いた領収書・請求書の読み取り
  • 帳簿作成・仕訳業務
  • チャットボットを用いた問い合わせ対応

AI活用の具体例を知りたい方は、ぜひ参考にしてください。

 

OCRを用いた領収書・請求書の読み取り

経理業務では、OCR技術の活用が効率化の鍵となります。OCR技術とは、紙ベースの領収書や請求書からテキストデータを自動で読み取り、デジタル形式でのデータ入力を可能にする技術です。従来の手作業によるデータ入力作業の時間を大幅に削減し、入力ミスを最小限に抑えられます。

多くの企業では現在も紙の文書を使った業務が一般的であり、その処理には相当な時間と労力が費やされているのが現状です。OCR技術を導入することで、文書を迅速にデジタルデータ化し、経理業務のスピードを上げ、精度を向上させることが可能になります。

また、デジタル化されたデータは容易に管理・検索できるため、後の確認作業や監査対応が効率的に行える点も大きなメリットです。

 

帳簿作成・仕訳業務

経理業務の中心である帳簿作成や仕訳業務は、日常的に行われる重要な作業です。帳簿作成・仕訳業務の特徴は、正確性が求められ、社内で定められた勘定科目を適切に考慮して正確に行う必要がある点です。そこで、仕訳や帳簿の自動作成が可能なAIを活用できます。

AIは、請求書や領収書から必要な情報を抽出し、正しい勘定科目に自動で仕訳できるため、経理作業の時間と労力を大幅に削減可能です。また、AIは学習機能を持っているため、繰り返し業務を行うことで精度が向上し、より高度な仕訳判断も可能になります。

自動化することで、経理担当者は分析や戦略立案などのより価値の高い業務に集中できるようになり、経理部門の生産性と業務の質向上にもつながります。

 

チャットボットを用いた問い合わせ対応

経理部門では、繁忙期には社内からの問い合わせが増加し、経理担当者の業務負担が大きくなる傾向にあります。そんな場面で役立つのが、AIチャットボットの導入による問い合わせ対応の自動化です。

AIチャットボットは、経理に関する基本的な問い合わせに対して自動で回答でき、経理担当者が不在であっても、即座に対応できます。これにより、経理部門の業務負担を大幅に軽減し、人件費削減にもつながります。

また、AIチャットボットは24時間365日対応可能であるため、時間を問わずに迅速な問い合わせ対応が可能です。そのため、経理関連の問い合わせがしたいスタッフもすぐに答えをもらえ、経理作業をスムーズに進められます。

経理部門におけるAIチャットボットの活用は、業務自動化・人件費削減ができるだけでなく、企業全体の効率化にもつながるでしょう。

 

経理×AIの活用事例5選

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実際に経理業務にAIが活用された事例にはどのようなものがあるのでしょうか。ここでは、以下5企業の事例を紹介します。

  • 【経費精算】明治安田生命保険相互会社
  • 【帳票管理・仕訳】花王ビジネスアソシエ株式会社
  • 【支払業務】JPビルマネジメント株式会社
  • 【経理業務全般】藤木サッシ株式会社
  • 【チャットボット】C&Cビジネスサービス株式会社

自社の経理にどのようにAIが活用できるかイメージが湧かないという方は、ぜひ参考にしてください。

 

【経費精算】明治安田生命保険相互会社 

明治安田生命保険相互会社は、経費精算プロセスの効率化や経費統制の強化を目的に、AIベースのシステム「SAPPHIRE」を導入しました。

導入前、同社では年間数万件にも及ぶ経費精算を管理職が一つ一つ承認するという、時間も労力も要する作業を行っていました。

しかし、SAPPHIREの導入により、管理職による承認業務を原則として廃止し、年間約5,300時間の業務時間を削減することに成功したのです。二重精算などの不備も大幅に減少し、経費統制の質が向上するメリットもありました。

明治安田生命の収益管理部グループマネジャーは、AIを活用することで、管理職がより生産的な業務に注力できるようになったと述べています。

経理業務にAIを導入することで、経理そのものの効率化だけでなく、生産性の向上も目指せることがわかる事例といえるでしょう。

 

【帳票管理・仕訳】花王ビジネスアソシエ株式会社 

花王ビジネスアソシエ株式会社は、経理業務の効率化や精度向上を目指して、AIソリューション「Remota」を導入しました。このAI導入は、社内の経理業務を変革する大きな一歩となり、業務プロセスの根本的な見直しをも促す結果となりました。

おもな導入背景は、経理業務のチェック作業に対するリソース不足の課題です。とくに、チェック業務を担う従業員の高齢化が進んでいるなかで、新たな業務の習得が難しいというのが大きな課題点となっていました。

Remotaは、紙の帳票をデジタル化し、勘定科目の自動判定・源泉徴収税などのチェック自動化を行うことで、経理業務の効率化を図るものです。導入後は、これまで行っていた提携業務を極限まで削減し、効率的に業務が行える環境づくりを目指しました。

また、Remotaの導入は、単に業務の効率化を図るだけでなく、税制コンプライアンスの遵守にもつながりました。

 

【支払業務】JPビルマネジメント株式会社 

JPビルマネジメント株式会社は、支払業務の効率化と精度向上を目的に、AI搭載のクラウド請求書処理サービス「sweeep」を導入しました。

sweeepの導入前は、各営業所での請求書情報の手入力、紙への印刷、社内での回覧、承認取得後の本社経理宛ての郵送、そして経理部でのデータ入力と振込という手間のかかるプロセスを踏んで支払い業務を行っていました。このような人の手に頼った手続きは、時間を浪費するだけでなく、エラー発生のリスクも高かったため、業務の効率化が切実に求められていたのです。

そこで導入されたsweeepは、JPビルマネジメントの請求書処理を全面的にペーパーレス化しました。sweeepは、請求書をアップロードするだけで自動でデータを読み取り、仕訳入力を行い、さらには振込データの作成までできるシステムです。請求書処理にかかる時間を大幅に削減し、郵送やファイリングなどの従来の手間をカットすることができました。

また、過去の請求書データを簡単に検索して参照できるようになったことで、効率的な書類管理が可能となるメリットも。振込作業の時間削減・支払い漏れや入力ミス防止・電子帳簿保存法やインボイス制度への対応など、さまざまな側面で役に立ちました。

 

【経理業務全般】藤木サッシ株式会社 

藤木サッシ株式会社は、経理業務の改善と生産性向上を目指して「RICOH Cloud OCR for 請求書」を導入しました。

これまで同社では、毎月200枚以上の請求書を処理するために、人の目での確認や手入力を必要とする大がかりな作業を行っていました。この手間と時間を削減するために、リコー独自の帳票解析技術と画像処理技術を搭載したAIシステムを導入したのです。

導入前の藤木サッシでは、請求書の情報を手動でExcelに入力し、その後の支払処理用リストも同様にExcelで管理。時間の浪費となるだけでなく、ミスが起こる可能性も高い状態でした。

しかし、「RICOH Cloud OCR for 請求書」の導入により、請求書をスキャンして自動でデジタルデータ化することが可能に。最終的には請求書処理にかかる時間を毎月約2日分短縮することに成功しました。

手入力による請求処理が必要なくなるだけでなく、会計ソフトへの入力作業も、AIの学習により進化し、入力候補の確認やチェックのみで済むようになります。これにより、従来の入力作業のような制約や手間が大きく軽減されました。

 

【チャットボット】C&Cビジネスサービス株式会社 

C&Cビジネスサービス株式会社では、経理財務部門への社内問い合わせの多さが業務効率に大きな影響を与えていたことから、「CloudAIチャットボット」の導入を決定しました。

チャットボットによる問い合わせ対応の自動化によって、問い合わせ件数を大幅に減少させるとともに、対応に必要な工数を大幅な削減に成功。問い合わせ件数は1,221件から155件へと、85%以上の大幅減。対応に必要な工数も150時間から65.4時間へと半分以上削減されました。これにより、経理財務部門のスタッフは、従来の問い合わせ対応に費やしていた84.6時間分の時間を、より生産的な業務に充てられるようになったのです。

チャットボットによる迅速かつ正確な問い合わせ対応は、スタッフの満足度向上にもつながり、社内全体の業務効率化につながっているのです。

 

まとめ

本記事では、経理業務はAIに奪われてしまうのか、またAIを経理業務でどのように活用できるのかについて解説しました。

AIは今後も新しい技術やサービスが展開されていくため、より多くの業務を自動化できると予想されます。しかし、最終的に行われる確認・承認作業はまだまだ人間が行う領域です。AIをツールとして活用しつつ、企業の経営に役立てる視点で業務を行う経理がこれからは求められていくでしょう。

オルツでは、業務効率化や従業員の業務負担軽減につながるAIソリューションを提供しています。課題に対して適切な提案を行い、AI技術を用いたシステムを開発します。AI開発や導入をお考えの際は、ぜひお気軽にご相談ください。

 

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