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4月 17, 2025

VRとは?歴史や仕組み、活用事例をわかりやすく解説

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VRは、専用のゴーグルを装着することで、まるで現実のような仮想空間を体験できる技術です。近年、VRはゲームやエンターテインメントを超えて、医療・教育・観光・不動産など多様な分野で活用が進んでいます。
 
本記事では、VRの歴史や仕組み、活用事例などをわかりやすく解説します。

VRとは?

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VRは「Virtual Reality」の略で、日本語では「仮想現実」と訳されます。専用のゴーグルなどを装着することで、まるでその場にいるかのような没入感のある3D空間を体験できる技術です。
 
近年では、視覚や聴覚だけでなく、重力や傾きに対するバランス感覚、さらには温度や痛覚といった感覚を刺激する技術も登場し、よりリアルな没入体験が可能になっています。
 
VRは大きく「視聴型」と「参加型」の2種類に分類されます。「視聴型」は、3D映像を鑑賞する形式で、「参加型」は映像内を自由に歩き回ったり、物に触れたりできるのが特徴です。
 
現在、VRはエンターテインメント分野にとどまらず、観光・医療・教育など、さまざまな業界で活用が進んでいます。

VRの歴史

VRの研究は1960年代に始まり、1990年代には「VR」という言葉や概念が少しずつ広まっていきました。この時期にはVR技術を取り入れたゲーム機も開発されましたが、画質の粗さや技術の未成熟さが原因で、大きな普及には至りませんでした。
 
その後、グラフィック技術の飛躍的な向上により、VRは再び注目を集めます。特に2014年には、スマートフォンを活用したVRシステムが登場し、家庭向けVRの普及が加速しました。そして2016年には「PlayStation VR」をはじめとする高性能なVRゲーム機が次々と登場し、一般家庭でもVRが身近な存在に。このことから、2016年は「VR元年」と呼ばれることもあります。

VRとAR・MR・XRとの違い

VRと混同されやすい次の4つの言葉との違いについて確認しておきましょう。

  • AR(拡張現実):現実世界にデジタル情報を重ね合わせ、現実世界を拡張する技術
  • MR(複合現実):現実世界と仮想世界を融合させ、相互に影響し合う体験を提供する技術
  • XR:VR、AR、MRなど、現実世界と仮想世界を融合する技術の総称
  • メタバース:インターネット上に構築される3次元の仮想空間

VRの仕組み

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■スマートフォンの画面に表示された映像は、撮影用に作成したものです。

VRがどのようにして、私たちに没入感のある仮想空間体験を提供しているのか、その仕組みを解説します。
 
映像の立体視
視点移動に合わせた映像の変化
音や触覚の再現
モーションセンサーによる動きの再現

映像の立体視


VRゴーグルが立体的な映像を映し出せるのは、「両眼視差」という仕組みを利用しているからです。私たちの目は、左右でわずかに異なる角度から物を見ています。この視差をもとに、脳は奥行きや立体感を認識しています。
 
VRでは、この両眼視差を再現するために、左目用と右目用の2台のカメラで映像を撮影します。VRゴーグル内には2枚の小さなディスプレイが並んでおり、それぞれの目に異なる映像を表示。左目には左目用、右目には右目用の映像だけが映るため、脳が映像を立体的に処理し、奥行きのある仮想空間を感じられます。

視点移動に合わせた映像の変化

VRの没入感を高めるうえで欠かせないのが、頭の動きを正確に検知する技術です。VRゴーグルには赤外線センサーなどが搭載されており、目や頭の動きをリアルタイムで捉えます。
 
VR映像は、人間の視野角よりも広範囲を撮影しています。しかし、ゴーグルに映るのはその中の一部分だけです。ユーザーが頭を動かすと、その動きに合わせて映像が切り替わり、「顔を左に向けると左の景色が見える」といった自然な視点移動が可能になります。この仕組みによって、まるで本当にその空間にいるかのような没入感が生まれます。

音や触覚の再現


人間は、左右の耳に届く音の違いをもとに、音の方向を認識しています。一般的な「ステレオ音声」は、左耳用と右耳用にそれぞれ別の音を録音し、聞き分けることで方向感を生み出します。
 
VRでは、従来のステレオ音声を活用することもありますが、より高度なシステムでは「空間音声(3Dオーディオ)」が採用される場合が多いです。空間音声は、上下・左右・前後など、さまざまな方向からの音を多数のマイクで録音し、現実に近い立体的な音響を再現します。また、ユーザーが頭を動かすと、音の聞こえる方向もリアルタイムで変化するように調整されているため、より自然な没入感を味わえるのです。
 
また、多くのVRシステムでは、手に持ったコントローラーを使って物をつかむ・動かすといった操作が可能です。一部のVRでは、コントローラーの代わりに視線を特定の一点に固定する「視線操作」などを活用し、より直感的な操作を実現しています。


モーションセンサーによる動きの再現


VR空間内で自由に移動するためには、モーションセンサーが重要な役割を果たします。
 
最も基本的な移動方法は、コントローラーを使った操作です。一般的なゲームと同様に、十字パッドやスティックを使ってキャラクターを動かします。
 
一方で、より高度なVRシステムでは、室内に設置したセンサーがユーザーの体の動きを検知し、その動きをVR空間内に反映。一定のスペースが必要ですが、実際に体を動かすことで、よりリアルな没入感を得られます。
 
また、最近ではVRゴーグルに内蔵されたカメラを活用し、外部センサーなしでユーザーの動きを認識できる技術も登場しており、より手軽にVRを楽しめるようになっています。

VRを体験するために必要なもの

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VRを体験するために必要なものについて解説します。

VRデバイスの種類

VRデバイスの代表格は、ヘッドマウントディスプレイ(HMD)です。HMDには、いくつかの種類があります。

  • スタンドアロン型(一体型): ディスプレイとコンピューターを内蔵しており、単体で装着するだけで使用できるタイプ。PCやスマートフォンを必要とせず、手軽さと高性能を両立しており、人気が高まっている。
  • PC接続型(据え置き型): 高性能なPCと接続して使用するタイプ。接続元のパソコンのスペックを最大限に活かしてVRゲームや動画を楽しめるため、高画質で、より複雑なVR体験が可能。
  • スマートフォン装着型(モバイル型): スマートフォンの画面をVRのディスプレイとして利用できるゴーグル。手軽さでいえば、初めてVRを体験するという人におすすめ。
  • 家庭用ゲーム機接続タイプ:家庭用ゲーム機と接続して使用するタイプ。周辺機器として、手の動きを認識する「モーションコントローラー」なども販売されており、没入感の高い体験が可能。

その他の必要な機器

VRデバイスの種類によっては、以下の機器が必要になります。

  • 高性能PC
  • ゲーム機
  • スマートフォン
  • コントローラー

PC接続型のVRデバイスを使用する場合、VRコンテンツを快適に動作させるための高性能なゲーミングPCが必要です。パソコン用VRゲームやVRソフトは非常に美しく高度で、種類も豊富なため、コストに見合う体験ができます。
 
PlayStation VRのように、特定のゲーム機と接続して使用するVRデバイスもあります。PS4やPS5を持っていない場合には、ゲーム機自体も用意しなければなりません。
 
スマートフォン装着型VRデバイスを使用する場合は、VRに対応したスマートフォンが必要です。ゴーグルの価格は比較的安価なので、VRとはどんなものなのか、体験したい人におすすめです。
 
そのほか、VR空間の中でアバターやオブジェクトを移動させたり、操作したりする場合には、コントローラーが必要になる場合もあります。

VRの活用事例

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VR技術はさまざまな分野で活用されています。ここでは、その一例をご紹介します。

  • エンターテイメント・ゲーム
  • 医療
  • 不動産
  • 教育・研修
  • 観光
  • 防災

エンターテインメント・ゲーム

VRの代表的な活用例は、エンターテインメント分野です。家庭用ゲーム機では「PlayStation VR」や「PlayStation VR2」が登場し、自宅にいながらにして、まるでゲームの世界に入り込んだかのような没入感あふれる体験が可能になりました。
 
テーマパークでは、VRゴーグルと可動式のシートなどを組み合わせたアトラクションが人気を集めています。来場者は人気ゲームの世界を現実さながらに体験でき、大きな話題となりました。
 
また、VR空間で開催されるライブイベントも注目されています。サンリオは、VR空間上でリアルとバーチャルのアーティストが共演する大規模なライブイベントを開催しました。このイベントは、ユーザーの求める体験を提供するため、企業や団体の枠を超えたコラボレーションによって実現し、VRならではの新しいエンターテインメントの形を示しました。
 
参考:「鬼滅の刃」の世界を全身で体感する2大アトラクションが完全新作で登場|ユニバーサル・スタジオ・ジャパン
参考:Sanrio Virtual Festival(2025)|サンリオ

医療

医療分野では、VRは主に研修ツールとして活用されています。
 
スタンフォード大学では、「スタンフォード・バーチャルハート(The Stanford Virtual Heart)」というVRシステムが導入されています。子供の心臓の機能や疾患を学ぶためのもので、研修医は3次元で再現された心臓の動きを観察したり、心臓の内部構造を詳しく調べたりすることが可能です。従来の2次元の教材と比べて、VRによる視覚的・立体的な学習は、より深い理解を促すと高い評価を得ています。
 
また、VRによる手術シミュレーションは、難易度の高い手術の事前準備に不可欠なものとなりつつあります。医療技術の発展と手術の安全性向上に大きく貢献することが期待されています。
 
参考:The Stanford Virtual Heart|Stanford Medicine Children’s Health
参考:VRシミュレータ|名古屋大学メディカルxRセンター

不動産

不動産業界では、VRを活用した「バーチャル内見」サービスが普及し始めています。入居希望者は、VRゴーグルを装着することで、現地に足を運ぶことなく、部屋の様子や窓からの眺望など物件の細部を好きな角度から確認することが可能です。
 
また、東急不動産は、VR企画制作会社と協力し、複数人が同時に参加できるVRモデルルームを導入しています。家族や友人と一緒に、まるで実際にモデルルームを訪れているかのような体験を共有しながら、物件の検討が可能になりました。
 
参考:D-ROOMアプリ|大和リビング
参考:日本ユニシスと東急不動産、VR モデルルーム(※1)を共同開発 竣工前の「ブランズシティ南草津」で導入開始|東急不動産

教育・研修

建設業界では、VRを活用した安全教育が導入されています。従来の集合研修では、会場の確保や参加者の移動など、多大なコストがかかっていました。しかし、VR研修であれば、参加者は自宅など、それぞれの場所でトレーニングを受けることが可能です。
 
また、VRは何度でも繰り返し体験できるため、危険な作業手順の反復練習や安全意識の向上に効果を発揮し、知識・技術の定着をより確実なものにします。
 
鉄道業界でも、VRを活用した安全研修が導入されています。大鉄工業が開発した鉄道安全体験VRでは、線路内での触車事故防止や機材置き忘れによる列車衝撃防止などさまざまなシチュエーションを体験可能です。
 
参考:[ICT活用事例]VR活用安全教育(高所作業車用)|建設業労働災害防止協会
参考:鉄道安全体感VR ~線路内作業における重大災害防止~|大鉄工業

観光

HISは、飛行機での海外旅行を疑似体験できるVRサービスを提供しています。利用者は、飛行機を模した空間でキャビンアテンダントの接客や機内食を楽しみながら、VRゴーグルを通して都市を訪れ、世界一周体験を味わうことが可能です。
 
また、日本政府観光局は、YouTubeチャンネルでVRを活用した外国人向け動画コンテンツを配信しています。人力車から眺める日本の古い街並みや、京都嵐山の竹林など、美しい風景を360°VR映像で体験できるこのコンテンツは、日本の魅力を臨場感豊かに伝え、外国人観光客の誘致を促進することを目的としています。
 
参考:新しい体験型世界一周旅行説明会|HIS
参考:visitjapan

防災

自治体では、VRを活用した防災訓練の導入が進んでいます。特に、過去に大規模な水害を経験した地域では、VRによるリアルな水害シミュレーションが、住民の防災意識を高める上で重要な役割を果たしています。
 
VRによる水害シミュレーションでは、浸水していく街並みや、避難経路の確認など、実際に災害が起きた場合を想定した体験が可能です。これにより、住民は災害を「自分ごと」として捉え、避難行動の重要性をより深く理解し、具体的な対策を考えるきっかけを得ることができます。
 
参考:玉名市 防災VR|株式会社キャドセンター

VR市場の将来性

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VR市場は、今後も急速な成長が見込まれています。総務省の「令和5年版 情報通信白書」によると、世界のVRヘッドセット出荷台数は2022年で1,253万台であり、2026年には2,598万台にまで増加すると予測されています。
 
特に、エンターテインメント分野だけでなく、医療、教育、製造業など、さまざまな分野での活用が進むと予想されており、技術の進化とともに、VRデバイスの低価格化や小型化が進んでより多くの人々にとって身近な存在になることでしょう。
 
参考:令和5年版 情報通信白書|総務省

まとめ

VRは、視覚や聴覚をはじめとする五感を刺激し、没入感の高い仮想空間を提供する技術です。近年は、ゲームやエンターテインメントのみならず、医療、教育、観光、不動産、防災など、さまざまな分野で活用されています。技術の進化とともに、VRデバイスの性能向上や低価格化が進み、今後さらに私たちの生活に身近なものとなるでしょう。
 
VRをはじめとする先端技術の発展は、AIやDXといった分野とも密接に関わっています。当社では、パーソナル人工知能の活用、LLM(大規模言語モデル)開発、DX推進を通じて、企業のデジタル変革を支援しています。最新技術の導入や活用に関心のある方は、ぜひお気軽にご相談ください。
 
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