AIは日々進化しており、さまざまな業界で活躍しています。とはいっても、どの業界でどのようにAIが活用されているのかイメージがつかない方も多いことでしょう。
本記事では、AIの開発事例を業界別にご紹介します。自社でAIを導入して業務効率化を図りたいと考えている方は、ぜひ参考にしてください。
AIができること
開発事例を見る前に、AIができることを確認しましょう。AIは次のようなことが可能です。
- 画像認識
- 自然言語処理
- 音声認識
- データの検索
- シミュレーション
画像認識
画像認識はカメラで撮影した画像を分析することで、データの抽出や分析ができる機能です。対象となるものを的確に捉え、種類を認識するためにAIの機械学習を用います。
画像認識は、人間が脳内で行っていることに近い処理が可能です。顔認証や異常の検知などで広く使われています。
自然言語処理
自然言語処理とは、私たちが普段話している言葉を認識する機能です。言葉はいつも正しい文法や発音、使われ方をしているわけではありません。そのため、AIが人間と同じように臨機応変に意味を理解して活用することは難しいとされています。
自然言語処理はテキストと音声どちらも処理が可能で、翻訳やチャットボットなどで活用されています。
音声認識
音声認識は、私たちが話す音声を認識し、処理する機能です。電話対応やAIアシスタントなどで使われています。また、音声のテキスト化も可能なため、議事録やレポートを短時間で作成できます。
データの検索
データの検索は、AIが得意な作業の1つです。AIにデータを学習・分析させることで、特徴を見つけ出します。医療分野ではカルテから患者情報を抽出するときなどで活用されている機能です。
シミュレーション
シミュレーションは、データ同士の関係から時系列に並べて処理し、未来を予測する機能です。データが大量にあればあるほど、近い将来は高精度で予測できるとされています。株価の予測やマーケティングなどで使われている機能です。
【業界別】AIの開発・活用事例10選
ここからは業界別にAIの開発・活用事例をご紹介します。AIの開発や導入をご検討の方は、ぜひ参考にしてください。
- 【医療・福祉】アルツハイマー病の進行予測
- 【不動産】推定成約価格の算出
- 【教育】記述式問題の⾃動採点
- 【金融】取引の不正・リスク検知
- 【建設業】構造計画の提案を支援
- 【製造業】生産ラインにおける異常の予兆を検知
- 【保険業界】電話の自動応答
- 【物流業】フォークリフトの安全運転評価
- 【人事】昇格試験の評価基準を統一
- 【漁業】漁師の勘をデータ化
【医療・福祉】アルツハイマー病の進行予測
富士フィルム株式会社は、自社がもつ画像認識技術を応用して、アルツハイマー病の進行予測ができるAIを開発しました。
国立精神・神経医療研究センターとともに行った研究では、2年以内に軽度認知障害の患者がアルツハイマー病へ進行するかどうかを最大88%の精度で予測することに成功しています。
【不動産】推定成約価格の算出
株式会社エクサウィザーズと三井不動産リアルティ株式会社は、所有マンションの推定成約価格をAIで算出するシステム「リハウスAI査定」を共同で開発しました。
リハウスAI査定で算出した価格と実際に成約した価格との差を占める誤差率の中央値は、首都圏1都4県で4.89%、首都圏エリア以外を含む全国では5.34%と高水準の精度を達成しています。
リハウス査定はWebサイト上にあるため、顧客が自分で査定結果を確認することが可能です。
【教育】記述式問題の⾃動採点
学校法人高宮学園代々木ゼミナールは記述式問題の自動採点ができるAIを活用し、高校生向けのトレーニング教材を提供しています。記述式AI採点技術は、理化学研究所革新知能統合研究センター自然言語理解チームが開発したものです。
AI採点技術を用いることで、記述式問題も自学自習できるようになり、学習効率が高まることが期待されています。
【金融】取引の不正・リスク検知
日本電気株式会社(NEC)は、横浜銀行に「AI不正・リスク検知サービス for Banking」
を提供しています。このサービスはマネーロンダリングや特殊詐欺などが疑われる取引をモニタリングする業務を補佐するものです。
これまで横浜銀行では、従業員がルールに基づいて詳細調査の対象口座を抽出していましたが、AIサービスがスコアリングすることで代替可能になりました。導入前の実証実験では、対象口座数を従来比で30〜40%減らすことに成功しています。
【建設業】構造計画の提案を支援
竹中工務店は、HEROZ株式会社と共同開発した「構造設計AIシステム」を導入しました。
このシステムは、竹中工務店が20年以上蓄積してきた構造設計結果データを学習したものです。
最適な構造計画の提案、必要断面寸法の推定、時間のかかる繰り返し計算をサポートすることを目的に導入されています。
【製造業】生産ラインにおける異常の予兆を検知
株式会社日立製作所と株式会社ダイセルは、共同で実施した実証実験をもとに画像解析システムを開発しました。
カメラが作業員の手やひじ、肩などの関節の位置情報を取得し、標準モデルと比較して作業員の逸脱した動作を検知します。また、ライン設備の動作不具合などの予兆を検出することが可能です。
【保険業界】電話の自動応答
SBI⽣命保険株式会社では、モビルス株式会社が開発した「MOBI VOICE」を導入しています。MOBI VOICEでヒアリングした内容を自動テキスト化しRPA(※)と連携することで、生命保険料控除証明書の再発行を受付から後処理まで完全自動化することに成功しました。
人による電話対応でなくても対応できるようになったため、顧客は24時間365日いつでも手続きすることが可能です。
(※)RPA…人がパソコンで行っている業務を自動化するロボット技術のこと
【物流業】フォークリフトの安全運転評価
富士通株式会社はサントリーロジスティクス株式会社と共同で、安全運転評価業務を補佐するフォークリフト操作のAI判定システムを開発しました。これまで人の目でドラレコ映像を確認し評価していた業務を、AIシステムを使って危険運転の歌題がある箇所を抜粋し効率化を図っています。
AIシステムを導入することで、安全運転評価業務にかかる時間を従来比約50%もの削減につながり、評価基準の明確化によって正確なフィードバックが実現しました。
【人事】昇格試験の評価基準を統一
株式会社松屋フーズホールディングスは、昇格試験の二次面接に「SHaiN」を導入しました。ShaiNはスマホやタブレットを使って行うAI面接ツールで、同じ採用基準でヒアリングできたり、面接内容をテキスト化して残したりすることができます。
SHaiNの導入により、同じ基準で評価を可視化できるようになり、人事の業務効率も上がりました。
【漁業】漁師の勘をデータ化
宮城県東松島市とKDDIグループは、共同でスマート漁業モデル事業を行っています。これまで漁師の勘で行っていた漁業をデータ化し、漁の改善や安定化、効率化につなげる取り組みです。
データ化して先読みできるようになれば、天候に合わせた事前準備ができるようになり、安定した漁業が実現できます。
まとめ
AIはさまざまな業界で活用されており、業務効率化や利便性向上を実現しています。本記事でご紹介した事例はほんの一部であり、まだまだ活用の余地があります。
オルツではパーソナル人工知能を中心としたAI活用、LLM開発、DXの推進を行っています。課題をヒアリングしたのち、最適なAIソリューションをご提案。実証実験、プロダクト開発までお客様とともに実行します。
AI開発をご検討されている方は、ぜひお気軽にお問い合わせください。