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業界別 8月 3, 2024

金融業界とAIの未来は?活用方法や注意点、事例を解説

金融ai

金融業界では、顧客のニーズの変化や運用コストの高いビジネスモデルを見直す動きから、AIの導入が今後必要不可欠になるといわれています。

本記事では、金融業界の抱えている問題と事例を交えたAIの活用をご紹介します。金融業界にAIを取り入れるメリットと注意点もお伝えしますので、ぜひ今後のAI活用にお役立てください。

金融業界 が抱えている問題

金融業界には、時代の変化とともにさまざまな課題が出現しており、ビジネスモデルの変革を迫られています。金融業界が抱えているおもな問題は、以下が挙げられます。

  • 運用コストの高さ
  • サイバーセキュリティのコスト増
  • 顧客ニーズの変化

運用コストの高さ

銀行などの金融業界は立地のよい場所に支店を置いているケースが多いため、賃料が高いことや多くの銀行員の人件費がかかることが問題となっています。支店が多い大規模な金融機関ほど運用にコストがかかっており、従来のビジネスモデルの維持は困難になりつつあります。

サイバーセキュリティのコスト増

世界的にサイバー攻撃が増え、かつ日々手口も巧妙なものに進化しているため、金融業界はアンチウイルスソフトやネットワーク強化などの対策を迫られています。サイバー攻撃とセキュリティはいたちごっこの関係にあるため、コストが増えているのが現状です。

顧客ニーズの変化

電子決済が広まり、現金でのやりとりも減りつつある昨今、特に効率を求める20〜30代は、銀行窓口を実際に訪れることが少なく、オンラインバンキングやATMで済ませる傾向にあります。

さらに、日本政府のマイナス金利政策のために融資が伸びないことや、人口減少に伴う経済の縮小など社会の変化は、顧客ニーズを大きく変化させています。

金融業界 におけるAI活用方法

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金融業界にはAIを活用できる分野や場面が多く、今後もさまざまな導入が期待されています。以下で活用方法の例をご紹介します。

顧客対応

AIは顧客対応に役立ちます。顧客からの問い合わせはパターン化できるため、窓口の案内や問い合わせ業務へのボイスボットやチャットボット導入によって効率化が可能です。

また、顧客の行動予測や購入パターンの理解から商品などの提案ができ、顧客満足度を上げることも期待されています。

 

事務処理

AIが得意な事務処理では、データ処理や帳票の読み取りを効率的かつ正確に行うことが期待できます。銀行のシステムは昔から使われているものが多いため、AIを活用した新たなシステムの構築によって、さらに効率化が進むと予想されています。

また、多言語にも対応できる点も強みとなるでしょう。

 

金融市場の分析や調査 

AIは分析や予測が得意です。金融市場の分析や調査を行い、顧客が必要なサービスの種類や量などの予測ができるので、プロモーション戦略などに役立つでしょう。

また、キャッシュフローのシミュレーションやポートフォリオの提案もできるため、顧客への提案もよりスムーズになり、AIが顧客の投資プランを提示するロボアドバイザーの活用も注目されています。

 

セキュリティ対策の強化

AIによって膨大なデータをもとに異常を検知できることは、セキュリティの強化につながります。疑わしい行動を検知することによって、キャッシュカードの不正利用や不正取引、振込詐欺などを防ぎ、早期の発見ができるためです。

 

金融業界 でAIを活用するメリット

金融業界でAIを活用するとどのようなメリットが得られるのか、以下で説明します。

顧客満足度の向上

まず期待されるのが、顧客の満足度向上です。例えば、チャットボットの導入により、問い合わせへの対応スピードが上がると、待ち時間が減らせます。また、顧客の行動分析や市場の分析、予測などによって、顧客のニーズに合わせた商品の提案ができる​​ことも、AIを活用して得られるメリットです。

業務の効率化

AIを導入することで、業務の効率化が加速するでしょう。データ処理や帳票の管理、仕訳などの事務処理、顧客対応を効率化することによって、より業務のスピードが上がります。

そのため、これまで多くの人手と時間をかけてきた業務が短時間で終わることにつながり、人間にしかできない業務に集中できるのです。

セキュリティの向上

AIは、セキュリティ面でも強い味方になります。膨大なデータから傾向を分析し、疑わしい行動を検知できるため、クレジットカード・キャッシュカードの不正使用や不正請求、不正取引、振り込め詐欺の予防につながります。

審査精度の向上

融資やカードローン、住宅ローンの審査も人手と時間がかかる業務です。一部をAIに置き換えることで、重要な判定のみを人間が行うなどの効率化が可能になります。

 

金融業界 にAIを導入する際の注意点・懸念点

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AIの導入による改善が期待されている金融業界ですが、注意点や懸念点も存在します。次のような点に気をつけて運用することが求められます。

AIによる誤った結果や判断による業務ミス

AIは適切に利用できれば大きなメリットがありますが、得意不得意な分野があるため、万能ではありません。今後はますます情報の透明性や責任の所在の明確化が求められるようになるでしょう。

AIによる誤った結果や判断による業務ミスを生まないよう、人間の目でもしっかり確認することが重要です。AIを過信せず、AIと人間とで適切な役割分担をしましょう。

 

セキュリティとプライバシーの問題

AIによってセキュリティが高まる反面、AIならではの脆弱性が狙われる可能性もあります。そのため、セキュリティの高いAIツールの選定やシステム構築が必要です。

またAIを活用するためには、膨大な顧客の個人情報や社内の機密情報などを学習させることが有効ですが、個人情報や機密情報の漏洩のリスクがあります。学習に使用するデータの匿名化処理や活用用途の制限などの対策が必要になるでしょう。

 

AI人材の不足

AIの発展のスピードに人材が追いついていないのが現状です。これからもAIはめまぐるしく発展していくと予想されますので、社内人材の育成や外部ベンダーの活用を行い、AI人材の確保を進める必要があるでしょう。

 

金融業界へのAI活用事例10選

金融業界ではAIの活用が進められています。ここでは実際の事例を10個ご紹介します。

 

【十六銀行】 ローン専用のチャットボットを設置

十六銀行は2021年10月からAI対話エンジン「BEDORE Conversation」を導入し、顧客向けチャットボットを活用してきました。月間約12,000件の問い合わせデータを分析した結果、ローンに関する具体的な問い合わせが多いことが判明。これを受け、2022年6月より各種ローン専用のチャットシステムを設置しました。

この導入により、単なる問い合わせ対応の効率化だけでなく、顧客の声を具体的なデータとして蓄積・分析し、マーケティングや新施策の立案に活用。顧客体験の向上とビジネス効果の両立を目指しています。

十六銀行は今後も「地域金融機関FAQプラットフォーム」への参加を検討するなど、AIを活用した顧客サービスの拡充に取り組んでいく方針とのことです。

 

【住信SBIネット銀行】 不正送金対策のAIモニタリングシステムを自社開発

住信SBIネット銀行は不正送金対策の高度化を図るため、自社開発のAIシステムを導入しました。従来もAIを使用していましたが、より精度の高い検知を目指し、2020年から2021年にかけて複数のAIで実証実験を実施。その結果、自社開発のAIが最も高精度であることが判明し、導入を決定しました。

この新AIシステムは、24時間365日体制で振込のモニタリングを行っています。最先端技術を活用し、新たな不正送金パターンを随時学習することで、モニタリング業務の高度化・効率化を実現します。今後は他の金融機関への提供も視野に入れており、より広範な不正取引防止に貢献することを目指しているとのことです。

 

【みずほフィナンシャルグループ】 「Azure OpenAI Service」を導入​​

みずほフィナンシャルグループ(以下、みずほ)は、デジタル・トランスフォーメーション(DX)加速のため、日本マイクロソフト社のAzure OpenAI Serviceを導入しました。

Azure OpenAI Serviceは、ChatGPTなどの最新生成AIモデルをクラウド上で利用できるサービスです。みずほは、稟議書や契約書作成のサポート、社員からの照会対応、金融データ収集、プログラミングコード生成など、幅広い分野での活用を想定しています。

セキュリティ面では、マイクロソフトの厳格な基準に加え、みずほ自身のセキュリティポリシーに基づいた管理体制を構築します。顧客情報や機密情報の取り扱いには、法令・諸規則を遵守し、厳格に対応する方針です。

 

【東京海上日動】 コールセンターにAIを導入

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東京海上日動は株式会社ELYZA独自開発の大規模言語モデル「ELYZA Brain」を活用した、事故対応業務における言語生成AI活用の実証実験を行い、結果を受けて本格導入を進めています。

実証実験では、お客様への応対文面作成業務で約50%の省力化に成功し、AIが生成した回答素案の61%以上がそのまま利用可能な品質であることも判明しました。

この結果を受け、東京海上日動は、ELYZAが持つ大規模言語モデルの知見やAI処理フロー設計技術などを評価してパートナーに選定しました。AI活用により、業務効率化と応対品質の向上が期待されています。

 

【千葉銀行】 不正取引防止システムを導入

千葉銀行は2024年より、AI技術を活用した新たな取引モニタリングシステムを導入。株式会社ラックの「AIゼロフラウド」を採用し、振り込め詐欺等の被害口座や不正利用口座の検知を高度化します。

実証実験の結果、従来のルールベース手法に比べて、AIを導入すると高精度で不正を検知することができたため導入を決定しました。

この取り組みにより、特殊詐欺対策の強化やマネーロンダリング防止など、健全な金融システムの維持に貢献したいとのことです。

 

【京都銀行】 稟議書検索システムの試行を開始

京都銀行は、業務効率化と顧客サービスの質的向上、AIリテラシーの高い人材育成を目指して、2017年からAI活用の取り組みや実験を進めています。

2019年からは、NTTデータと共同開発したAI「corevo®」を活用した「稟議書添付資料検索システム」を導入。過去の稟議書から類似事例を高速で検索し、稟議書作成時間の短縮を実現しました。

さらに2023年には、地域金融機関としてはじめて「Azure OpenAI Service」を活用したChatGPTの試行導入を決定。文書作成、要約、翻訳、プログラミングなど幅広い業務での活用を目指しています。

また、データ分析基盤の強化もすすめており、NTTデータ提供の「DataRobot」と「AIサクセスプログラム」を導入し、2025年度までに35名のデータサイエンティストの育成を行っているとのことです。

 

【セブン銀行】 ATMの出入金差額予測モデルを構築

セブン銀行は、全国約26,000台のATMネットワーク運用を効率化するために、AIの活用に取り組みました。

ATMの現金管理は予測困難なものでしたが、マイクロソフトのAzureを活用しAI予測モデルを構築したところ、ATMの現金管理における予測精度が大幅に向上し、運用効率とサービス品質の改善が実現しました。

同時に社内のAI技術理解も深まるという相乗効果もあり、金融機関がAIの活用によって業務課題の解決や組織の改変が促進できることを示す好例として注目されています。

 

【七十七銀行】 業況変化検知システムを導入

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七十七銀行は、AI inside社の技術を活用し、生成AIによるデータ分析の自動化プロジェクトに取り組みました。このプロジェクトは、大量のデータを効率的に処理・分析し、結果を迅速に共有するという課題に対応するものです。

具体的には、チャネル別の販売状況分析や可視化、プログラミングコードの自動生成、さらには分析結果の自動文書化を実現しました。これにより、商品販売状況の分析や融資先の業況判断、リテール分野での効率的な商品提案などが可能になりました。

この取り組みの結果、業務効率が大幅に向上し、非構造データの構造化や自動転記システムの構築にも成功しています。

 

【三菱UFJ銀行】 AIによる帳票読み取りで電子化をスタート

三菱UFJ銀行は、米国のスタートアップRipcord社と協業し、銀行にとって長年の課題である大規模なペーパーレス化プロジェクトを進めています。

Pipcord社のAIは、スキャンの際のホチキス芯やクリップの除去から、読み取りデータ化までを自動化が可能。銀行取引をペーパーレス化したいと思ったときに感じる障壁をクリアできる技術があります。

同行は今後もペーパーレス化を進め、インターネットやスマホアプリでの手続きにシフトするなど、顧客満足度につなげていく取り組みを続けていくとのことです。

 

【SMBCグループ】 AIアシスタントツール活用の実証実験を開始​​

SMBCグループは、AIアシスタントツール「SMBC-GPT」の実証実験を開始しました。

SMBC-GPTは、情報が社外に流出しないプロトタイプを構築したチャットツールで、Microsoft Azureによって構築されています。高度な文章処理機能により、社内従業員の文章作成、要約、翻訳、ソースコードの生成などの業務をサポートします。

今後は、社内だけでなく、顧客への案内や提案など多様な活用ができる金融AIへと開発を進めていくとのことです。 

 

​​まとめ

金融業界の抱えているさまざまな問題は、AIの活用によって解決する可能性が期待されていますが、レガシーシステムが残っていることや従業員のデジタルリテラシー不足などによって、思うように導入が進まないことも事実です。

オルツでは、AI技術を用いたシステム開発を行い、最適なAIソリューションを提案します。お使いの環境や課題を丁寧にヒアリングし、企画から実証実験、実装までお客様に寄り添って実施しますので、安心してご相談ください。

 

>>株式会社オルツへのお問い合わせはこちらから

 

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